中小企業のDM戦略
中小企業のインバウンドマーケティングにおけるDM戦略
中小企業のHP(ホームページ)運営における、DM (DirectMail・ダイレクトメール)の作成・利用方法をご説明します。
昨今では、DM と云うと、twitterのDirectMessageダイレクトメッセージだと理解する人が多いのではないでしょうか。
紙やFAXでダイレクトに届けるツールのほうです。
大量に直接届ける使い方が定番でした。
皆さんも日々届けられていることと存じます。
しかし、インバウンドマーケティングでは、若干違います。
特に、中小企業にとっては、この違いをしっかり認識して活用しなければなりません。
DMとは
DM (ダイレクトメール)は、小売店や、クレジットカード会社などのDB(データベース)= 顧客リストから購入頻度、金額、誕生月などの属性で抽出され、郵便やメール便などを利用して届けられます。
これによって届くものの形態は、紙一枚の葉書、ちらし程度から、封書・大判封筒・パンフレット様のもの、更に、パンフレット、カタログまで様々です。
また、 個人向けはダイレクトマーケティング、法人向けはセールス活動の一環として位置づけられます。
ダイレクトマーケティングの理論に基づき、時系列な展開、顧客との継続的な関係作りに効果がみられます。
このため、テストを繰り返し、顧客データベースを駆使し、レスポンス、コンバージョンを獲得するためのデザイン、クリエイティブ制作に注力されます。
これらはストレートな商品、サービスの宣伝、囲い込みで、リピートを目指すものです。
通信販売では定期的に最新のカタログが届けられ、商品、サービスを購入する。
これに留まらず、カタログを眺めることを趣味とするなど、マスメディアとしての機能を持ち、すぐに捨てられない一種の雑誌として編集、情報価値をもつものもあります。
これらは、ダイレクトメールとして直接顧客の手元に届けられるだけではなく、一般書店で無料配付したり、販売しているケースもあります。
並行して、全く面識のない企業から送付されてくるものもあり、迷惑な宣伝とみなされます。
これらの送付先の個人情報・企業情報は、いわゆる「名簿業者(名簿屋とも)」が保有している情報がほとんどです。
業務を明らかにしているFAXDM業者の提供するリストは、パーミッションを得ているものが多く、法的には問題ありません。
しかし、あくまでも二次利用であり、自社が繋がりをもつ顧客、見込み客のリスト以前の状態。未知の情報であることに変わりありません。
近年、個人情報保護法施行以降は、パーミッションのない受信は減少していますが、FAX(ファクシミリ)を利用しての FAXDM では一方的に送りつけられる宣伝、広告の中に、闇金融のものが後をたちません。
インターネットが出現するまで、ダイレクトメールは特定の顧客へ直接アプローチ出来る唯一のメディアであったため、ダイレクトマーケティングの主役を担いました。
今日では、インターネットでも直接顧客へアプローチが出来る。
しかし、一定数のDMは紙でもFAXでも活用されていることは、日々、皆さんも体験している通りです。
ダイレクトメールの定義(アメリカのDM研究家ヘンリー・ホーク編)
DMのタイプ
情報、説得、想起、実用の4つのタイプに分かれ、必ずしも即効的なDMだけではない。
- 情報DM|即座に注文が来ることは想定しない。
- 説得DM|注文、問合せといった行動を促すことを目的とする。
- 想起DM|特定のイメージや名称を定着させることを目的としたもの。
- 実用DM|郵便本来が持つ、「連絡を取る」ことを目的としたもの。
DMの機能
DMの6つの機能
- より効果的な、パーソナルな関係を作り出す(=セールスマンの支援)
- 見込客を目的の場所に連れていく(=小売店などの支援)
- PR(パブリック・リレーションズ)やイメージの向上(=顧客との関係づくり)
- 郵便によって現実の注文を取る(=メール・オーダー)
- 見込客の行動を確保する(=資料請求)
- リサーチ及び市場調査
昨今では、大量の顧客リストにダイレクトにアプローチするために効率化が求められています。
このため、代行業者が数多存在しています。
クリエイティブから印刷、宛名の印刷、貼り付け、投函、顧客フォロー。
これに付随するDB(データベース)管理まで請け負う業者も多数あります。
中小企業にとってのDM
中小企業は、予算、人員をさくことが出来ません。
しかし、ここは根気強く時間を割きます。
量より質の勝負を目標にします。
上記、DMの4つのタイプのうちのふたつ。
1.情報DM|即座に注文が来ることは想定しない。
3.想起DM|特定のイメージや名称を定着させることを目的としたもの。
及び、DM の6つの機能のうちのふたつ。
1.より効果的な、パーソナルな関係を作り出す(=セールスマンの支援)
3.PR(パブリック・リレーションズ)やイメージの向上(=顧客との関係づくり)
ひと言で云ってしまうと、実利・成果の発生しないもの、関係継続と信頼感の醸成に尽くします。
この為、見込み客⇒顧客の段階ではなく、その次・上の顧客⇒リピート客、更にファンへ階段をあがって頂く段階で利用することをお勧めします。
手間暇かけても実践をお勧めしたい2つの、そして、やろうと思えば誰でもできる手法を2つご紹介します。
1.手書きハガキ作戦
手書きのハガキです。宛名も手書きです。
内容はお礼や近況報告です。更に可能であれば、相手のことを書く、相手の興味のあることを書く。
売込みや商品、サービスのことは一切なしです。
あるとしても、脇役、隅っこに少しか、信頼関係ができた後に相手にとって、「教えてくれれば良かったのに」と云われる、本当に有益な情報で一部の特権的な客(ファンやリピーター)だけにお届けされる内容で、です。
大手、資金力のある中堅と戦ってはいけません。
効率を求めず、真心と誠意で勝負します。
ライバルがバカバカしくてやらないことを愚直にやるから効果が際立ちます。
相手の記憶に残ります。
年賀状、暑中見舞いは必要ありません。埋もれるからです。
これらを、出す意味がないとは云っていません。ここで云うDMは全く別物です。
毎日、1枚づつでも良いので続けることが肝要です。
2.裸ニュースレター作戦
その名の通り、貴社の会社のこと、社員のこと、地域のこと、楽しく幸せで頑張っている様子をお届けします。
また、お客様の声をご紹介させて頂くことも王道です。
お客様の誕生日を祝う、新規顧客をご紹介する、顧客紹介者に感謝の意を表する。
新規顧客にとっては嬉しく、くすぐったく。
紹介者にとっては、誇らしく、また紹介してあげようと思う、更に、他のお客様も、「紹介」と云う行為を身近に忘れないものにしてくれます。
田舎の両親や恩師に近況を知らせるようなものでしょうか。
手書きハガキ同様、商品、サービスのことは書きません。書いても脇役です。
封筒に入れたりしません。封さえ切られません。
最近、目にすると思いますが、透明の封筒で中身をみえるようにしているもの…。
これもまどろっこしいです。
A4の厚紙の裏表。A4大のハガキで結構です。裸(ハダカ)でお届けします。
そのうち、世の中に多くなってくるでしょうが、現時点、まだ珍しく。
「何じゃこりゃ」と、少しは目を通して頂けます。
こちらは代行業者を利用も可ですが、不思議と社内で作業すると、汗と云いますか、気持ちがこもるような気がしています。
リピートはあるものの断続的な商品、サービスや、信頼関係のもと、ご紹介頂ける可能性のあるお客様に忘れられない。浮気されない。思い出して頂けるなど、気持ちに応えて頂けます。
3.手渡しカードなど作戦
手作りのカードを手渡しでお届けすることは郵送以上に効果があります。
弊社では「ありがとうカード」という手書きカードをお渡ししています。
殆ど仕事のことは書いていません。
私信に近いもので、その名の通り、日頃の感謝を綴らせて頂いています。
社内やプライベートの友人宛、家族宛もコミュニケーションを円滑に気持ちよくさせてくれる魔法のカードです。
自身のオリジナルカードをつくってみて下さい。
広告・PR と FAXDMの関係
アウトバウンドの広告・PRを否定しません。むしろ、予算が許せば賛成です。
上述の通り、見込み客にアプローチするためにFAXDMを利用する場合、旧来のように、リストをなめつくように蹂躙するひとつ覚えのFAX攻撃では、数=予算の体力勝負でしかありません。
しかも、自身の見込み客リストではなく未知の、初めてのリストにアプローチする場合、たとえ、パーミッションをとったリストを利用していても、迷惑ととられるイメージダウンのリスクもあります。
これは、購買、申込など、発信側が成果を急いで独りよがりになっていると一層ネガティブに。
しかし、受信側にとって有益なことが明示できれば、これは軽減されます。
すなわち、まず、プレミアムコンテンツやインセンティブを明らかにして、警戒感の敷居をさげる。その上で、購買、申込に至らなくとも、興味を示して頂ければ、当方(発信側)にとっては十分にありがたいです、と云う姿勢です。
中小企業の FAXDM は、二段構えで考えて下さい。
私は広告シャワーと呼んで、ご説明しています。
広告・PRにより、営業の出番がすぐにきて、成約する。大成功です。
しかし、初回商談で成立しない場合や、問合せが来なかった方々、しかし、一定の興味がある層を、せめて見込み客になってもらうような仕掛け、導線、見え方を是非にご理解頂き、お勧めします。
ひとFAXDMで、目先の勝負(問合せ・アポイント・購買)と長い目でみた勝負(見込み客リストの構築)の2つをしかけ、コストパフォーマンスを高くもって行きます。
弊社では中小企業のための、集客のコンサルティング契約をしているお客様のサイトからFAX番号や住所の登録を促し、見込み客のリストを構築しマーケティングに活かしています。